コミットメントとは? 言葉の意味やコミットメント力を高める方法を紹介

「コミットメント」ビジネスシーンのみならず、心理学や日常生活など多くのシーンで使用される言葉です。コミットメント力の向上は、仕事においても高い効果を発揮します。

ここでは、コミットメントの定義やコミットメント力を高める方法について解説します。

コミットメントとは? ビジネスにおける意味

コミットメントは、英語で委託、関与、公約、言質などを意味します。日本語で「コミットする」と表現する場合、「責任を持って受託する」のニュアンスで使用されます。

仕事においてコミットメントが使用される場合、「責任を持って結果を約束する」といった意味になります。コミットメントという言葉には「約束を果たす」の意味合いがありますが、ビジネスシーンで使用されると「結果に責任を持つ」などの強い意味として伝わります。

また、コミットメントには「主体性を持って真摯に関わる」といった意味合いもあることから、「コミットする」と発言することは相手の期待値を高めることにつながります。

組織コミットメントとは

組織に対する帰属意識や関係性を示す概念のことを「組織コミットメント」といいます。一般的に、会社の規模と比例して重要性が高まる傾向があります。組織コミットメントには、以下の3種類があり、それぞれ内容が異なります。

  • 情緒的コミットメント
  • 功利的コミットメト(存続的コミットメント)
  • 規範的コミットメント

具体的にどういう内容なのかを詳しく解説します。

情緒的コミットメント

情緒的コミットメントとは、従業員個々人の気持ちや考え方など、情緒的な面から発生するコミットメントのことです。「従業員エンゲージメント」などと言い換えることもできます。

「会社が扱っている商品やサービスが好き」「一緒に働く仲間が好き」などの気持ちから生じる「会社のために頑張りたい」「この会社にずっと勤め続けたい」といった気持ちの状態は、情緒的コミットメントが良好であるといえます。

情緒的コミットメントが損なわれると会社への帰属意識が失われ、早期退職の要因になることもあります。本人のスキルやキャリアプランを考慮して仕事をアサインすることで、情緒的コミットメントをアップしやすくなります。

功利的コミットメント(存続的コミットメント)

功利的コミットメントは存続的コミットメントとも呼ばれており、感情ではなく損得に基づいて形成されるコミットメントのことを言います。

例えば、給与や休暇などの労働条件や役職、労働時間などを考慮して、条件が悪くないから現状を維持・存続させようとする場合などが当てはまります。「仕事に対する対価が適正である」「転職しても今より条件が良くなることはないだろう」など、損得を判断した上で「現在の会社で働き続けよう」としている点が特徴です。

そのため、現在の働きぶりに対して報酬が低いと感じたり、より条件の良い企業があると知った場合、功利的コミットメントは大きく低下する恐れがあります。

規範的コミットメント

規範的コミットメントは、「組織の一員であるからにはその組織に対して力を尽くす必要がある」という忠誠心に基づくコミットメントです。組織に尽くす理由は求めず、無条件に会社のルールや方針に従います。高い規範意識が求められる組織に属する場合に強く求められることが多いとされています。

規範的コミットメントを持っていると、組織に対して反発することなく従順な姿勢を貫きますが、常に受け身で「待ちの姿勢」であることが欠点ともいえます。決められたルールに従ったり、与えられた職務を全うする意識が強いあまり、自分の考えを発信したり新たな提案をすることに対して苦手意識を持つ傾向があります。

心理学における「コミットメント効果」

心理学における「コミットメント効果」とは、何か新しいことに挑戦するとき、その意思を誰かに表明することで目標を達成しやすくなることをいいます。

なぜ宣言するだけで目標達成しやすくなるのかというと、人間の特性として自分の言動や態度、信念に一貫性を持たせたいという感情があるためです。

政治家や企業の経営者が、あえて大勢の前で公約を口にすることがあります。これも周囲に自分の意思を宣言することで達成率が高まる効果を狙ったものです。日常の仕事の場面においても、「営業成績20%アップ」などと周囲に宣言するのは一定の効果があるといえます。

コミットメントに関連する言葉

ここまでコミットメントという言葉の意味について詳しくみていきましたが、ビジネスシーンにおいてはコミットメントに関連する言葉として、以下の2つがあると言われています。

  • オーバーコミットメント
  • フルコミット

それぞれどのような意味があるのでしょうか。具体的な内容について見ていきましょう。

オーバーコミットメント

オーバーコミットメントは「自身の権限を越えて物事をなすこと」で、仕事において自分の担当領域を越えて命令を出したり、他人に余計な口出しをしたりする行為のことです。一緒に働くメンバーのモチベーション低下につながる可能性があるため、注意が必要です。

越権行為が当たり前になってしまうと、信頼関係の構築が難しくなり、チームワークが阻害されるなど組織文化そのものに悪影響を及ぼす場合もあります。

また、過度な緊張を長期間抱えたり、自分のキャパシティを上回る業務を抱えて仕事に傾注しすぎる状態のことを指す場合もあります。

フルコミット

フルコミットはコミットメントを発展させた意味合いの言葉で、「仕事に対して全力で臨む」という意味を持ちます。和製英語のため英語としては成り立ちませんが、「仕事にフルコミットします」と表現することで「最大限努力する」「責任を全うする」といった意思を表現できます。

もし上司から「プロジェクトにフルコミットしてください」と指示された場合、「最大限の力を注いでプロジェクトに取り組みなさい」と命令されたのと同義であると理解してよいでしょう。

ビジネスにおけるコミットメント力を高める方法

ビジネスパーソンとして働く中で、コミットメント力を高めるには以下の4点が大切だと言われています。

  • 顧客目線を意識する
  • 目標を具体的に設定する
  • 実現可能な計画を立てる
  • 柔軟な対応を意識する

いずれも日常の業務のなかですぐに取り入れられることばかりです。それぞれの具体的な内容を解説します。

顧客目線を意識する

仕事におけるコミットメントの最良の結果は、顧客ニーズを満たすことです。そのためには、顧客の立場で考えることが大切です。

顧客目線を意識するためには、顧客のニーズを正確につかむような取り組みも有効な方法の1つです。実際に顧客と接する機会を設けたり、アンケートなどの調査結果に基づいて顧客の声を知る機会をつくると良いでしょう。

加えて、「もし自分が顧客の立場ならどのように感じるか」と顧客の立場で物事を考える習慣をつけることも大切です。顧客目線で物事を考えられれば、おのずと行動やアウトプットも変わってきます。

目標を具体的に設定する

目標設定もコミットメント力を高めるために有効な方法です。目標を定めるときは、「今年度末までに営業成績をアップさせる」などの抽象的な目標ではなく、「上半期までに顧客との商談件数を20%増やし、売上を10%向上させる」など、具体的に設定するのがポイントです。

目標が具体的になると何をすべきかが明確になるため、目標へ到達しやすくなります。目標達成のために必要な行動目標もあわせて設定すると、より効果を発揮するでしょう。目標設定とそれに向けた行動の繰り返しにより、コミットメント力が向上しやすくなります。

実現可能な計画を立てる

目標が決まったら、実現可能な計画を立てることも大切です。まずは目標を達成するために必要なタスクを洗い出しましょう。時間軸でやるべきことをリストアップしていくと、漏れが少なくなります。

ある程度タスクがピックアップできたら、いつまでに完了させるか具体的な期限を決めていきます。こうすることで、最終目標に到達するまでの中間点を複数設定でき、目標達成への道筋が明確になるでしょう。

具体的な計画を立てることによって目標や計画に無理がないか確認でき、早めに人手や資金を確保するといったアクションも取りやすくなります。

柔軟な対応を意識する

コミットメント力を高めるには具体的な目標や計画を立てることが大切ですが、仕事は常に予定通りに進むとは限りません。何らかのアクシデントが発生した際は、柔軟に対応することも重要なポイントの1つです。

想定外のアクシデントが発生した際は、計画の軌道修正が求められます。場合によっては最終的な目標設定も変更する必要があるかもしれません。最初に設定した目標にこだわりすぎないよう注意しましょう。

また、常に効率化を意識して業務に取り組むなど、過去の手法に捉われずにより良い方法を探しながら仕事に取り組むこともコミットメント力向上に有効です。

「コミットメント」はビジネスの場面でも求められる力

日常生活の様々なシーンで使用される「コミットメント」ですが、仕事の場面では結果に対して責任を負ったり、主体的な姿勢で仕事に取り組んだりすることを意味します。コミットメント力の強化は、生産性向上や業務効率化など組織にとってもプラスの影響をもたらします。

コミットメント力の向上には顧客目線を意識し、具体的な目標や計画を立てるなどの日々の取り組みが大切です。計画に修正が必要な場合も柔軟に対応し、目標に向かって取り組んでいきましょう。

また、ビジネスパーソンとしてのさらなる成長を目指すためには、学び続ける姿勢も重要なポイントです。キャリア支援プログラムなどを活用し、自分自身のポテンシャルを最大限に伸ばしていきましょう。

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