ロジカルシンキング(論理的思考)とは? 定義やフレームワークを解説

ロジカルシンキングとは、物事を体系的に整理し、論理的なつながりを捉えながら矛盾なく考える思考法のことです。ロジカルシンキングを身につけることにより、相手に対して説得力をもって物事を伝えられるようになります。日々現場で問題解決にあたる管理職、リーダーにとって必須のスキルです。
ロジカルシンキングの定義やフレームワーク、活用の場について詳しく解説します。
ロジカルシンキング(論理的思考)とは? その定義
ロジカルシンキングとは論理的思考のことをいい、ビジネスにおける課題解決に必要な思考法の一つとされています。
ロジカルとは「論理的な」という意味で、ある事柄について矛盾が生じないように整理して考えることや、第三者からも分かりやすいように体系的に考えることなどを指します。シンキングとは「思考」や「考えること」を意味し、意見や判断といった意味で用いられることもあります。
ロジカルシンキングとは、何らかの問題が発生した際に解決策を感覚的に考えるのではなく、事象を整理し、順序よく筋道を立てて考えることによって問題解決へ導く思考法のことです
ロジカルシンキング(論理的思考)の代表的な二つのフレームワーク
ロジカルシンキングには以下の代表的な2つのフレームワークがあります。
- ロジックツリー
- ピラミッドストラクチャー
ロジックツリーとは、課題や問題をツリー型に分解し、原因や解決策を探すためのフレームワークです。
ピラミッドストラクチャーとは、結論や主張を頂点に置き、ピラミッド状に根拠を配置していくフレームワークです。
ここからは、それぞれの詳細について見ていきましょう。
ロジックツリー
ロジックツリーには、以下の3つの種類があります。
- WHYツリー
- HOWツリー
- WHATツリー
WHYツリーは、問題の原因を明らかにする原因究明型のツリーです。問題の原因となっている事柄に対して「なぜ?」を繰り返すことで根本的な原因を突き止めます。
HOWツリーは、どのようなアプローチで問題を解決していくのか、改善策やアクションを決めるための方法です。問題解決のアプローチ方法を掘り下げていき、解決策を導き出すための行動に直接つながる点が特徴です。
WHATツリーは、課題の内容の要素を分解し、選択肢を洗い出していくツリーです。具体的にどこに問題があるのか特定する際に役立ちます。
ピラミッドストラクチャー
ピラミッドストラクチャーには、以下の2つの種類があります。
- トップダウンアプローチ
- ボトムアップアプローチ
トップダウンアプローチは、初めに全体を把握し、それを構成する大まかな枠組みを設定することで小さな構成要素を分類していく考え方です。結論は既にあるものの、それを支える論拠をどのように構築するか悩んでいる場合に役立ちます。
ボトムアップアプローチは、ゴールが明確でない場合に有効な方法です。論拠となる複数の情報をグループ化していき、情報を要約することでピラミッド構造をつくります。マーケティング調査の結果分析の際などに役立ちます。
ロジカルシンキング(論理的思考)に関連する言葉とその違い
ロジカルシンキングに関連する言葉がいくつかあります。ここでは、以下の内容について解説していきます。
- ロジカルシンキングとラテラルシンキングの違い
- ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違い
なお、ロジカルシンキングを含むこれら3つの思考法は、それぞれが完全に独立しているわけではありません。多くのビジネスパーソンは、問題の解決策や新しいアイディアを考える際にこの3つの思考法を組み合わせて使用しています。
ロジカルシンキングとラテラルシンキングの違い
ラテラルシンキングとは、既成概念にとらわれず多角的に物事を考察し、新しい発想を生み出すための思考法で、ロジカルシンキングとは考え方の前提や過程が異なります。
ロジカルシンキングは、ある課題を体系立てて整理し、推論を重ねて一つの解決策を見いだす思考法です。具体的には、複数のデータから共通点を抽出して結論を導いたり、既存のルールや事実に新しい情報を紐付けて結論につなげたりします。
一方のラテラルシンキングは、結論は1つではなく、様々な側面や角度から過去の経験や実績にとらわれずに解決策を探ります。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違い
ロジカルシンキングが課題を要素ごとに分解し、筋道を立てて考えていく思考法であるのに対し、クリティカルシンキングは「考えや行動が本当に正しいのか検証し、本質を見極める」思考法です。
問題の解決策を考える際に、ロジカルシンキングだけでは前提となる部分が正しいかどうかは分かりません。また、クリティカルシンキングだけでは具体的な行動には結び付かないという欠点があります。
クリティカルシンキングはロジカルシンキングの精度を向上させる要素を含んでおり、互いの思考法だけでは完結しない側面を補い合う関係性があります。
ロジカルシンキング(論理的思考)が活用される場面
ロジカルシンキングが活用される場面には、主に以下の3つがあります。
- プレゼンテーション
- ボトルネックの発見
- 課題解決
それぞれの場面でどのように活用されるのか、1つずつ見ていきましょう。
プレゼンテーション
プレゼンテーションとは、相手の悩みや要望を把握した上で、限られた時間内で企画や意図など伝えたい内容を、簡潔に分かりやすく伝える技法のことです。商品の購入やサービスの利用など、相手に具体的な行動をしてもらうことを目的とします。
相手の行動を促すには、相手の立場で考えた分かりやすい説明が必要になります。そこで用いられるのがロジカルシンキングです。
ロジカルシンキングを用いたプレゼンテーションは結論に対する論拠が明確に示され、さらにそれを具体例が支えることで説得力が高まり、相手の行動に結び付きやすくなります。
ボトルネックの発見
ボトルネックとは、ビジネスの場では「制約要因」の意味で用いられ、目的を達成するために取り除く必要がある問題点のことです。
例えば、営業していて商品が思うように売れない時、手当たり次第に様々な営業方法を試すのは効率的ではありません。
ロジカルシンキングを活用すれば、起きている問題に対しての相関関係、因果関係を整理できます。これにより、何がボトルネックになっているのか効率的に発見できます。
ロジカルシンキングは顕在化している事象だけではなく、潜在的なボトルネックを発見する際にも役立ちます。
課題解決
課題解決のためには、発生した課題に対してその要因や事象を分析し、発生原因を洗い出し、整理する必要があります。
課題解決のプロセスで大切なのは、問題の本質を明らかにすることです。現状とあるべき姿を明確にし、あるべき姿に近づくためには何が問題なのかを究明し、必要な方策を打っていきます。
問題の本質を究明する際にロジカルシンキングを用いることによって、最小限の努力で最大の効果を得られます。
ロジカルシンキング(論理的思考)で身につくスキル
ロジカルシンキングを鍛えることによって身につくスキルは主に以下の4つです。
- 分析力
- 問題解決能力
- 提案力
- コミュニケーション力
いずれもビジネスの場で必須のスキルであり、ロジカルシンキングを身につけることはビジネスパーソンとしての活躍の幅を広げることにつながります。具体的な内容についてさらに詳しく解説します。
分析力
分析力とは、問題の原因を特定するために集めた情報を要素ごとに分類し、その構成を明らかにする能力のことです。分析力を活かして素早く問題を特定し、合理的な解決策を講じられる人材はあらゆるビジネスシーンにおいて重宝されます。
分析力を高めるためには、物事を客観的に捉える論理的思考力が不可欠です。ロジカルシンキングを鍛えることにより、様々な問題や事象を客観的に捉えられるようになり、分析力が向上します。
問題解決能力
問題解決能力とは、発生した問題の原因を洗い出して分析し、実現可能かつ適切な解決策を構築し解決へ導く能力のことです。
問題点の把握や原因の特定だけではなく、解決策を考え実行するまでの一連の対応ができて初めて、問題解決能力が高いと評価されます。
ロジカルシンキングを活用すれば、問題解決にあたって重視するべきことの明確化や因果関係の正確な把握が可能になります。
因果関係を正確に把握し合理的な思考ができれば、様々な問題に対し適切に対処する能力が向上するでしょう。
提案力
提案力とは、ヒアリング力や説明力などと混合されがちですが、より複合的な能力のことです。営業シーンで例えると「顧客が抱える問題点を発見し、サービスや商品によって解決方法を考え、分かりやすく伝える力」といえます。
ロジカルシンキングを身につけることによって、提案力向上が期待できます。提案を通すためには相手を納得させる必要があり、そのためには論理的に説明する必要があるためです。
自社の商品やサービス内容のみを伝えるのではなく、相手の課題を明確にした上でその解決策として紹介すれば説得力が増し、相手の信頼を獲得しやすくなります。
コミュニケーション力
コミュニケーション力とは、対人的なやりとりにおいて互いの意思疎通をスムーズに行う能力のことです。ビジネスの場に限らず、より良い人間関係を築くためには必須のスキルです。
ロジカルシンキングを鍛えることによって、自分の考えを分かりやすく相手に説明できるようになります。また、相手の話も構造的に理解できるようになるため、結果として意思疎通がスムーズになり、コミュニケーション力が向上します。
ロジカルシンキング(論理的思考)はリーダー必須のマネジメント能力を養う
ロジカルシンキングはビジネスにおける課題解決のために必要な思考法であり、管理職、リーダーにとって必須のスキルといえます。
分析力や問題解決能力などが高まり、ビジネスパーソンとしての市場価値を高めることにもつながるでしょう。
ロジカルシンキングはビジネスの現場で鍛えることも可能ですが、学びの支援を提供している企業は多く存在します。ビジネスパーソンとしてさらにレベルアップしたいと考える方は、ぜひ積極的に利用してみてはいかがでしょうか。
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