傾聴とは? ビジネスにも応用できるコミュニケーションの技法を解説

仕事をする中で、社内の人や取引先ともっとスムーズに信頼関係を築きたいと感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。

信頼関係の構築に当たっては、説得力のある話し方や表現方法などの「伝える力」だけでなく、相手の話に耳を傾ける「傾聴力」も重要なポイントの1つです。

傾聴力が高い人は相手に安心感を与えられ、それが信頼につながります。一方的に考えを押し付けるのではなく、相手の考えに耳を傾け意見を尊重してくれる人として、リーダーとしての信頼も得られます。

本記事では、傾聴の定義や効果的な場面、傾聴を学んで得られることについて詳しく解説します。

傾聴とは?

傾聴とは、相手の話に耳だけではなく目や心も集中させて真摯な態度でしっかりと「聴く」会話の技術です。

傾聴はカウンセリングにおけるコミュニケーション技法として活用されてきましたが、相手との信頼関係を構築する上で有効な手段のため、ビジネスの現場で応用されています。

傾聴の目的は、相手が伝えたいことに主眼を置いて、相手を理解することにあります。

傾聴という言葉に使われている漢字は「聞く」ではなく「聴く」です。傾聴では、相手の声のトーンや表情、言葉の背景にある感情にも気を配りつつ、相手の話に耳を傾けます。

また、相手の立場に立って、気持ちに共感しながら理解し、相手が自分の感情や気持ち、意見を整理していくことも促すことも傾聴に含まれる要素の1つです。

傾聴が効果を上げる場面

ビジネスシーンにおいて傾聴が効果を上げる場面には、主に以下の3つがあります。

  • クライアントワーク
  • 社内の人間関係
  • メンター制度

傾聴は相手との信頼関係を築く上で効果を発揮するため、社内外のビジネスの現場で幅広く活用できます。傾聴の技術を取り入れることによって仕事がスムーズに進んだり、部下や顧客との人間関係が良好になったりと、多くのメリットがあります。

クライアントワーク

クライアントワークとは、顧客からの依頼を受け、意図や要望に合った製品や制作物を作り、成果物として提供することです。仕事の流れは営業活動に始まり、ミーティングや企画会議を重ねて顧客の要望を具体化し、製品や制作物として納品します。

クライアントワークのポイントは、成果物の提供によって相手の要望に応えるという点にあります。

相手の要望に応えるためには、打ち合わせなどの際に表面的な話に終始するのではなく、真意をくみ取るスキルが必要です。傾聴を活用することで、顧客の要望をキャッチすることが可能になります。

社内の人間関係

傾聴スキルを活用したコミュニケーションは、社内の人間関係を築く上でも役立ちます。上司、部下、同僚などの立場に関係なく活用できるのが傾聴の強みです。

傾聴では相手の立場で考え、相手の言葉やその背景にある気持ちに共感するよう努めます。その結果、相手への理解が深まり、信頼関係を強固なものにします。

例えば、メンバーとのミーティングの際にも傾聴を意識することで信頼関係が育まれ、社内のコミュニケーションが円滑になる効果も期待できます。

メンター制度

メンター制度とは、直属の上司とは別に、比較的年齢の近い先輩社員が新入社員や若手社員をサポートする制度です。

若手社員の離職原因として「仕事の悩みを相談できる人がいない」「仕事や職場がつらいという声を発しにくい」ことがあります。こういった状況を改善するために、メンター制度を活用する企業が増えています。

メンターが傾聴スキルを活用して話を聴くことによって、若手社員は「自分の話をしっかり聞いてもらえる」という安心感を得られます。その結果、早期離職の防止や仕事のモチベーションアップが期待できます。

傾聴が効果を上げる場面

傾聴を学んで得られることには、主に以下の3つが挙げられます。

  • 自分自身を客観的に見る力
  • 周りの人たちとの信頼関係を築く力
  • 相対する人の真意をくみ取る力

傾聴とは、相手の話や感情をありのままに受け入れて聴くことでもあります。相手との信頼関係の構築や真意の理解はもちろん、自分自身を理解することにもつながります。

自分自身を客観的に見る力

傾聴の力が身につくと、相手の話を相手の立場で聴けるようになります。その結果、自分の視点から見ていることと、相手の視点から見えることの違いに気づきやすくなります。

自分にとっては大きな問題ではないことも、相手にとっては負担となっている場合があります。傾聴力を高めることによって、こうした他人との価値観の違いを知ることができ、客観性が磨かれます。

自分自身の感情や行動をコントロールすることにもつながり、周囲との関係がより円滑で深いものになるでしょう。

周りの人たちとの信頼関係を築く力

誰かに自分の話を聞いてもらい、自分の思いが理解され共感されることで人は安心感を覚え、相手に対する信頼の気持ちが高まると言われています。

話を聴く際は相手の立場に立って、話したいことを安心して話してもらえるように努めることがポイントです。

日頃から傾聴を実践することで、周囲の人に「この人なら話を聞いてもらえる」「この人なら自分を受けとめてくれる」という印象を与え、良好な信頼関係につながるでしょう。

たとえその場で相手の悩みが解決されなくても、話を聴いてもらえたことや気持ちの良いコミュニケーション自体が相手の満足につながります。

相対する人の真意をくみ取る力

例えば上司から「仕事は楽しいか?」と尋ねられた時、「楽しくありません」と答える部下は少ないでしょう。多くの場合、本心と言葉にはギャップがあります。

人の本心は、言葉ではなく表情や声のトーンなどの非言語的コミュニケーションに表れるといいます。

相手が言葉にしていない真意をくみ取るのも傾聴の力です。声や発言内容は前向きでも、姿勢がうつむき加減で無表情の場合、何か問題を抱えているのかもしれません。

そのため、相手の表情や声色など、全てに注意を払って耳を傾ける「傾聴」を身に着けることで、相手の真意をくみ取りやすくなります。

傾聴力は自分でも鍛えることができる

傾聴力は以下のような心掛けをすることで自分でも鍛えられます。

  • 声のトーンを意識する
  • 論点を要約することを意識する
  • 質問の使い分けを意識する

いずれもビジネスシーンや日常生活の中ですぐに取り入れられることばかりです。日頃の会話の中で傾聴を意識することによって、コミュニケーションが円滑になることを実感できるはずです。

声のトーンを意識する

傾聴で大切なのは、相手が威圧感や緊張感を感じないように話しやすい環境をつくることです。そのためには、自分の声のトーンにも気を配る必要があります。

具体的には、話すスピードやテンポ、大きさ、声の高低などを意識しましょう。同じ言葉でも、ゆっくり発言するのと早口で発言するのとでは印象が異なります。

声のトーンのポイントは「相手のトーンに合わせる」ことです。相手が小さな声でゆったりした口調なのに、自分が大きな声で早口で話していると、相手は違和感を覚えてしまいます。

相手のトーンに合わせて話をすることで、相手は「もっと話したい」と感じやすくなります。

論点を要約することを意識する

会話の中におうむ返しや要約のスキルを取り入れることによって、傾聴力がアップします。

おうむ返しとは、相手の言葉をそのまま繰り返すことで共感の気持ちを表現するスキルです。発言内容をそのまま繰り返すだけなので簡単に取り入れられますが、ただ繰り返すだけではなく、重要な発言を繰り返すことが大事な手法です。

また、傾聴に必要な手法の1つとして、会話の随所で相手に対して「つまり~ということですね」と話をまとめる「要約」が挙げられます。要約があることで、相手は「ちゃんと理解してもらえている」と感じられます。

要約のポイントは、相手がつらいと感じていることや頑張っていることなど、相手にとって大切なポイントを理解し、気持ちに寄り添って言葉を返すことです。

質問の使い分けを意識する

傾聴では、相手の考えを引き出し、理解するために、質問の仕方を意識することも大切なポイントとなります。

質問のスキルとして「水平質問」と「垂直質問」の使い分けが挙げられます。

水平質問とは、相手の発想を広げる質問で、「他には?」「例えば?」など相手により多くのことを考えてもらいたいときに効果的と言われています。

垂直質問とは、相手の思考を掘り下げる質問で、5W1Hを活用して相手の回答をさらに具体化したいときに使用します。

どちらか一方の質問に偏ると、相手が話しにくくなってしまうかもしれません。相手の回答を聴きながら2種類の質問をバランスよく使い分けることが重要です。

傾聴力を鍛えてビジネスへの活用を

現代のビジネスの現場では、仕事のノウハウや知見と同等以上にコミュニケーションが重視されています。

コミュニケーションについて考えるとき、上手に話したり表現したりする技術に着目しがちですが、いかに相手の話を深く聴き、相手を理解するかが重要です。

傾聴力は、社内外の人との関係構築や信頼の獲得に役立てることができると同時に、あらゆるビジネスシーンにおいても効力を発揮します。

自己啓発の一環として、積極的に傾聴について学んでみてはいかがでしょうか。

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