交渉が苦手な人と上手な人の特徴、ビジネスの交渉に必要なスキルを解説
交渉は顧客や仕入れ先、上司や部下との間など、ビジネスの様々な場面で求められるスキルの1つです。
交渉力を身につけ、お互いが納得できる合意点を引き出せるようになれば、ビジネスシーンにおいて多くのメリットを生み出せるでしょう。
交渉が苦手な人と上手な人の特徴、交渉に必要なスキルについて詳しく解説します。
交渉とは
交渉とは、ある問題や課題に対してお互いが意見を出し合い、コミュニケーションを取ることです。交渉は日常のあらゆるシーンで使われています。例えば、家電量販店で大型家電や車を購入する際に、値引きを打診することも「交渉」の1つです。
ビジネスにおける「交渉」とは、お互いが利益を得るための合意に達するまでのプロセスのことをいいます。取引先の顧客に対してはもちろん、社内の上司や部下との間でも交渉は行われています。
合意に達するまでのプロセスの過程で用いられるスキルやテクニックを「交渉術」と呼びます。
交渉が苦手な人の特徴
交渉が苦手な人には以下の3つの特徴があります。
- 最低限の妥協ポイントを用意できていない
- 交渉の筋道が用意できていない
- 相手からの質問を想定できていない
ビジネスの場で交渉するには事前準備が不可欠です。相手に応じてしっかり準備することが交渉成功への第一歩となります。
最低限の妥協ポイントを用意できていない
交渉に臨む際、譲歩しながら落としどころを探る「妥協ポイント」が想定できていないと、交渉が不成立に終わる可能性が高くなります。
交渉の場で、お互いの要求や利益が一致することはまれです。交渉の過程で合意点を見いだしていかなくてはなりません。そのためには、自分自身の要求においても妥協できる最低限のポイントを用意しておく必要があります。
ビジネスにおける交渉では、価格や条件面などが重要な指標となることが多いとされています。あらかじめ、「この値段までは価格を下げられる」「この条件は必須だが、他の条件は多少変更してもよい」など、妥協できるポイントを想定した上で交渉の場に臨みましょう。
交渉の筋道が用意できていない
相手に対して一方的に自分の要求を述べるだけでは、交渉とはいえません。事前にシナリオを用意してから臨むことが大切です。
シナリオを用意する際のポイントは、自分のシナリオだけではなく相手がどのようなシナリオを持ち、こちらの要求に対してどのような反応を示すかを具体的にイメージすることです。その上で、最終的な合意点に至るまでのストーリーを明確にしてから交渉に臨むようにします。
相手からの質問を想定できていない
交渉には、相手からの質問を想定して臨む必要があります。相手が決断する際の判断材料となる以下のような質問には、あらかじめ答えを用意しておいたほうがよいでしょう。
- 商品やサービスを購入することによるメリット
- 商品やサービスが顧客の悩みを解決する根拠
- 費用対効果
- リスク
上記以外にも、相手の置かれている状況や関係性に応じて、できる限り想定される質問を洗い出しておきましょう。このような準備も、信頼関係を築き、交渉を成功させるポイントです。
交渉が上手な人の特徴
交渉が上手な人には以下の3つの特徴があります。
- お互いの求めるものが整理できている
- 分かりやすい話の筋道ができている
- 想定される質問に対する答えを用意できている
当たり前に思えることばかりかもしれませんが、交渉が上手な人はこうした準備をしっかり行い、完璧な状態で交渉に臨んでいます。
お互いの求めるものが整理できている
交渉の失敗パターンとして「交渉中は話が盛り上がり成功したと思ったが、冷静に振り返ると議論の軸がズレていた」「目指すべきゴールの共通認識が持てず、曖昧なまま話が終わった」などが挙げられます。
まずは自分の要求のポイントと利益、相手の要求のポイントと利益を明確にすることが大切です。その上で、お互いの利益を最大化するポイントを探ります。
お互いの求めるものをきちんと整理してから交渉に臨むことで、相手も考えを整理でき、議論の軸がズレたりゴールに到達できずに交渉が終わるといった失敗を回避できます。
分かりやすい話の筋道ができている
交渉が上手な人は感情的にならず、論理的で分かりやすい話の筋道ができています。
感情的にならず分かりやすく交渉を進めるコツは、自分の要求の根拠となるデータや情報を準備し、論理的に話をすることです。
ある要求をするためには「なぜそう言えるのか」という根拠もセットで相手に提示します。根拠は自分の主観や推測ではなく「事実に基づいたもの」であることが大切です。
客観的な根拠に基づき、顧客にとってのメリット・デメリットを明確にし、メリットが上回ることを上手に伝えられれば、交渉が成功する確率を高められるでしょう。
想定される質問に対する答えを用意できている
交渉が上手な人は、想定される質問については、あらかじめ回答を準備してから交渉に臨んでいます。会話の自然な流れで「よくある質問例」として質問される前に回答を提示するのも上手な方法です。
想定質問を準備する際のポイントは、自分自身だけで考えるのではなく、他部門の人に協力を仰ぐことです。専門的な知見に基づくアドバイスが得られれば、質問の答えの説得力も増します。加えて、必要に応じて補足資料を用意するといった対策も可能です。
交渉の場で質問に回答できなかった場合、それだけで失敗に終わるとは限りません。しかしながら、交渉の成功に至らない可能性は高くなります。万全の準備で臨むことが大切です。
交渉がうまくなるために必要なスキル
交渉がうまくなるために必要なスキルは、主に以下の4つが挙げられます。
- 論理的思考力
- 感情をコントロールして冷静に判断する力
- 相手の心理を読む洞察力
- 相互利益を求める共感力
交渉は、相手に自分の要求を伝えるとともに相手のニーズを正確に把握することが大切です。論理的思考力と感情面の両方のスキルを高めていくことがポイントです。
論理的思考力
論理的思考力とは、問題に対する解決策を感覚的に考えるのではなく、物事を整理し筋道を立てて考えることによって解決へ導く思考のことです。論理的思考力を身につけることによって、複雑な物事をシンプルに分かりやすく整理できます。
特に交渉の場面では、自分の要求の裏付けとなる資料やデータ、相手にとってのメリットを論理的に説明する必要があります。交渉における説得力を高めるためにも、日常的にロジカルに物事を考える習慣を持つことをおすすめします。
感情をコントロールして冷静に判断する力
交渉は勝ち負けを決める場ではなく、お互いの要求を出し合い、適切な妥協点を見いだすために行います。そのため、感情的になることは得策ではありません。
自分の主張が理解してもらえず感情が乱れることもあるでしょう。しかし、相手に納得してもらうには冷静にデータや情報を提供し、客観的に物事を説明する姿勢が求められます。
さらに、相手にも冷静に話を聞いてもらうには、まずは相手の要求を全て聞くことが大切です。自分の考えと違う部分があっても一旦話を受け止め、その後に自分の主張をするようにします。相手の考えを尊重し、冷静に物事を判断していくことが大切です。
相手の心理を読む洞察力
洞察力とは、周囲の状況をよく観察し、見えない部分まで推察して物事の本質や意図を見抜く力のことです。「観察力」と混合されることがありますが、観察が表面的な部分に限定される行為なのに対し、洞察は表面的な部分にプラスして見えない部分まで見抜くことを指します。
例えば交渉中に相手の反応が薄れてきたら、相手が話の内容に興味がないか会話のテンポについていけていない可能性があります。これを見抜ける力が洞察力です。
洞察力のポイントは「本質を見抜く」ことにあります。そのため、先入観や個人の主観、思い込みを排除し、フラットな状態で物事を見て判断する力が必要です。
相互利益を求める共感力
ビジネスにおける共感力とは、人の考えや意見を推察したり、喜怒哀楽の感情に寄り添ったりする力のことです。交渉の場面においても、共感力は有効に働きます。
交渉の場面では、双方が納得できる結論を目指す必要があります。そのためには、自分自身だけでなく相互利益を求める姿勢というのも求められていきます。相手の課題や要求についての理解や共感の姿勢を見せれば、安心感を抱いてもらいやすく、スムーズな会話にもつながるでしょう。
何もかも相手の意向に沿う必要はありませんが、このように相互利益を求める共感力を見せることは、長期的な関係構築にも有効に働きます。結果として、次の交渉の場面にも活きることもあるでしょう。
交渉はお互いをwin‐winに持っていく力
交渉は、一方的に自分の意見を押しつけて言葉で相手を丸め込むのではなく、立場や利害関係を超えてお互いが納得できる合意点を見いだすために行います。
交渉のスキルが向上することによってお互いの利益を最大化でき、ビジネスパーソンとしての存在価値を発揮することにつながります。
交渉は実践を重ねることによって鍛えられるものです。交渉力の向上を意識しつつ、日々の業務に取り組んでいきましょう。
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