働き方の多様化やリモートワークの浸透により、SOHOという言葉を耳にする機会が増えてきました。しかし、言葉の意味や使い方がわからないと言う人は少なくありません。
SOHOの定義やSOHOワーカーとして働くメリット・デメリット、SOHOで成功するために必要なスキルについて解説します。
SOHOとは？
SOHOとは「Small Office Home Office」の頭文字を取った言葉です。SOHOの明確な定義はありませんが、情報通信機器を活用して業務の委託を受け、自宅や小さなオフィスで働くことを指します。
よく似た言葉にフリーランスがありますが、両者の違いはオフィスを構えているかどうかという点です。
フリーランスは特定の職場を持たないケースがあり、自宅で仕事をする人もいればカフェやワーキングスペースを利用する人もいます。SOHOワーカーはオフィスを構えていることが特徴のため、基本的には一定の場所で仕事をします。
不動産における「SOHO」
不動産業界でもSOHOという言葉が使われており、「SOHO物件」とは「事務所として使用できる居住用賃貸物件」のことです。SOHO物件は事務所用の物件とは異なり法人登記が認められず、表札や看板を出せない場合が多くあるため、事前に貸主に確認が必要です。
事務所用の賃貸物件が課税対象であるのに対し、SOHO物件は、居住用であるため非課税であることがメリットです。また、事務所用の賃貸物件と比較すると、賃料や初期費用が安い傾向があります。居住を前提としての契約のため、事務所用物件では不可とされる寝泊まりも可能です。
SOHOワーカー向きの職種
SOHOワーカーとして働く人が多い職種としては、エンジニアやプログラマー、Webライター、デザイナーなどが挙げられます。
会議や打ち合わせなど対面でのコミュニケーションの必要性が低く、顧客からの依頼を受けて一定の時間をかけて成果物を納品するスタイルで仕事をしている人が多いのが特徴です。専門的な知識やスキルを活かし、基本的には日々の仕事を単独でこなしています。
一方で、飲食店や販売業など、対面でのコミュニケーションが前提となっている業種や、人が多く集まる場所に店舗を構えることが必要な業務形態は、SOHOには向いていません。SOHOは基本的にパソコン1台でやりとりが完結する仕事に適しています。
SOHOワーカーとして働くメリット
SOHOワーカーとして働くメリットは、主に以下の3つがあります。
- 開業にかかる初期費用を抑えることができる
- 労働時間は自分次第
- 仕事と家庭の両立を実現しやすい
働き方の自由度が魅力のSOHOワーカーですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。1つずつ見ていきましょう。
開業にかかる初期費用を抑えることができる
事務所用の物件は敷金や礼金以外にも賃料の6カ月〜10カ月分程度の保証金やオフィス設備の導入費用など、様々な初期費用がかかります。
一方のSOHO物件は住居とオフィスが一体となっているため、オフィス用の設備を導入したりオフィス家具を購入したりする必要がありません。また、事務所用の物件と比較すると賃料が安いことも多くあります。
さらに、すでに居住している物件や持ち家をオフィスとして使用する場合は移転費用もかからないため、開業時の初期費用を大きく軽減できます。
労働時間は自分次第
自分の裁量で労働時間を決められる点はSOHOの大きな魅力の1つです。早朝・深夜を問わず、好きな時間に仕事ができます。
一般的な会社員の場合、決められた時間に出社し終業時間まで働くスタイルが多いのが現状です。近年ではリモートワークを導入している企業も増えていますが、SOHOのほうが労働時間の自由度が高いといえるでしょう。
また、労働時間だけではなく、自分のキャパシティやライフスタイルに応じて休暇や仕事量も自由に調整できます。自宅兼オフィスであれば、ちょっとした休憩や仮眠も他人に気兼ねなく取ることができます。
仕事と家庭の両立を実現しやすい
SOHOワーカーとして働くメリットとして、通勤が不要になることが挙げられます。通勤時間に多くの時間を割く必要がなくなり、その分を仕事や家事などの活動に充てられます。
毎日往復1時間かけて会社へ通勤していた場合、1カ月で20時間以上もの時間が節約できます。スキルアップのために勉強したり、家族との時間や趣味の時間を持ったりすることも可能になるでしょう。
出産や子どもの進学、介護などのタイミングで仕事を続けることを諦める人も多くいますが、SOHOはそれらの問題を解決する手段としても有効です。
SOHOワーカーとして働くデメリット
SOHOワーカーとして働くことには、当然ながらデメリットも存在します。具体的には以下の2点が考えられるでしょう。
- 業種・職種が限定される
- オンオフの切り替えが難しい
SOHOは、住居など小さなオフィスを使用することを前提としています。それによって生まれるデメリットについても確認しておきましょう。
業種・職種が限定される
SOHOワーカーとして自宅とオフィスを兼ねる場合、対応できる業種や職種が限定されます。
SOHO物件はあくまで住居としての使用が主であるため、販売業や飲食業、音楽スタジオの運営など、騒音や臭いが発生したり、多くの人が集まったりする業種は営業できません。そのため、SOHOワーカーとして開業する場合は、基本的に来客が少なく、静かに作業ができる仕事でなければ対応できないでしょう。
加えて、居住スペースと作業スペース両方が必要となるため、在庫を多く抱える仕事や作業スペースを広く確保する必要のある仕事も不向きといえます。
オンオフの切り替えが難しい
自宅兼オフィスで仕事をしていると、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすい傾向があります。
会社員の場合、職場へ出勤することで気持ちが切り替わり業務に集中しやすくなりますが、SOHOワーカーの場合、意識して気持ちを切り替えなければなりません。つい長く休憩を取ってしまったり、反対に長時間仕事に没頭しすぎてしまったりするケースが多くあります。
質の高い仕事をするためには、オンとオフの切り替えが大切です。居住スペースと作業スペースを分けるなど、集中できる環境づくりに取り組む必要があります。
SOHOワーカーとして成功する人が持つスキル
SOHOで成功する人が持つスキルは、主に以下の3つです。
- 高い自己管理能力
- オンとオフの意識的な切り替え能力
- コミュニケーション能力
自宅で仕事をするSOHOワーカーの働き方は、オフィスへ通う会社員とは異なります。SOHOとして成功するために求められる主なスキルについて見ていきましょう。
高い自己管理能力
SOHOワーカーは自宅において単独で仕事をするため、仕事のスケジュールや量を全て自分で管理します。そのため、高い自己管理能力が必要です。
自己管理能力の中でも、自分のキャパシティを正しく把握する力が求められます。収入確保や顧客要望に応えるために、自分のキャパシティを超える量の仕事を請けてしまいがちですが、SOHOワーカーとして仕事を継続するには健康管理が何よりも大切です。
仕事量と健康管理を自己管理していくことが、SOHOワーカーとして長く活躍できる秘訣です。
オンとオフの意識的な切り替え能力
SOHOワーカーは、労働時間を自由に決められ、働いた分だけ報酬が得られるのが大きな魅力ですが、仕事を長く続けるには休息時間もしっかり取ることが大切です。
会社員と同じように週末は仕事をしないと決めたり、固定の曜日を定休日と決めたりすることで、仕事の予定も立てやすくなります。心身の健康を維持するためにも、休日を設けましょう。
また、家族と過ごす時間を持ったり趣味の活動に時間を割いたりと、仕事以外の時間を充実させることも大切です。気持ちをしっかりリフレッシュさせることで仕事への英気を養うことができます。
コミュニケーション能力
SOHOワーカーは一般的な会社員と比較すると会議や打ち合わせの機会が少なく、対面で人とコミュニケーションを取る機会が限られています。しかし、非対面であるからこそこまめに連絡を取り、意思疎通を円滑に行うことが大切です。
また、SOHOワーカーが仕事を得るためには自分で営業を行う必要があり、説明能力や自分を売り込むスキルも必要です。仕事を獲得した後も顧客と良好な関係を維持するためには、顧客のニーズを正確に汲み取り、要望に沿った仕事をする必要があります。
あらゆるシーンでコミュニケーション能力の高さが求められます。
SOHOは自由度の高い働き方の1つ
IT技術の進展やリモートワークの普及により、魅力的なワークスタイルの1つとしてSOHOを検討する人が増えています。
開業に必要な初期費用を安く抑えられたり時間を有効活用できたりと、SOHOワーカーになるメリットはたくさんあります。資格を取得して専門性の高い仕事に専念し、全国の好きな場所で仕事をすることも実現可能です。
SOHOワーカーとして成功するには、常に自分の知識やスキルをアップデートし、学び続ける姿勢が大切です。独学で学ぶこともできますが、様々なキャリア支援プログラムを利用してみるのもおすすめです。
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