VUCA(ブーカ)とは?意味やVUCA時代に求められるスキルを解説
将来を予測することが困難な状況を表す言葉「VUCA(ブーカ)」をご存じでしょうか。
デジタル技術の急激な進歩やさまざまな分野のグローバル化、社会の変化、新型コロナウイルス感染症の拡大など、予測不可能で大きな変化が起こっている現代は、まさに「VUCA時代」真っ只中とされています。
今回は、VUCAという言葉の意味をはじめ、VUCA時代に遅れない組織作りや身につけておくべきスキルについて詳しく解説します。
VUCA(ブーカ)とは
VUCAとは、次の4つの言葉の頭文字をつなぎ合わせた造語です。
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
読み方は「ブーカ」です。社会やビジネスにとって、先行きが不明瞭で予測困難な状況を表す言葉として使われています。
2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)において、「VUCAワールド」という言葉が使われたことから、VUCAという言葉が世界中で広く知られるようになりました。
VUCAのそれぞれの意味を詳しく見ていきます。
Volatility(変動性)
Volatilityとは、予測ができず、変動が激しい状態を指す言葉です。
テクノロジーの急速な進化や社会情勢の変化に伴い、社会の仕組みや人々の価値観は大きく変化しています。世界は今後もさらに変化することが予測され、さまざまな市場に大きな影響をもたらすでしょう。
Uncertainty(不確実性)
Uncertaintyとは、これからの時代の不確実さを指す言葉です。
地球温暖化、新型コロナウィルスなどの未知の感染症、グローバル化、戦争などの未来予測に対しての不確実要素を示します。不確実性が高い状況下では、将来の見通しをたてることが難しいとされています。
Complexity(複雑性)
Complexityとは、いくつもの要素が絡み合い、社会が複雑になっている状態を指す言葉です。
経済のグローバル化が加速し、国のルールや常識の違いにより、国内の成功事例が海外で通用しなかったり、今までに例のない新たな事業が誕生したりしています。生活の便利さは増しているものの、ビジネスをはじめとするさまざまな物事が複雑化し、新たな解決方法が求められている問題も増えています。
Ambiguity(曖昧性)
Ambiguityとは、「過去のやり方では通用しない」「絶対的な解決方法が見つからない」「確固たるものがない」といった、曖昧な状態を指します。
変動性、不確実性、複雑性、これら3つの要素が組み合わさることで、曖昧性が高まるとされています。現代社会は曖昧性が高く、前例のないことが増えています。
VUCAの時代に起きている出来事
現代はすでにVUCA時代であるとされているものの、「実際にはどのようなことが変化しているのだろう」と疑問に思う方も多いのではないのでしょうか。VUCA時代に起きている具体的な出来事について詳しく確認してみましょう。
IT技術の発展
IT技術の急速な発展は、VUCA時代を象徴する出来事といえるでしょう。
スマートフォンの登場により、インターネットがより身近なものとなりました。情報を得る方法やモノや人とつながる方法が様変わりし、InstagramやTikTokといったSNSやアプリケーションも誕生しています。それに伴い、企業の広告やマーケティング活動も大きく変化しました。
新しいサービス・商品の登場
VUCA時代には、従来の考えを覆すような新しいサービスや商品が次々に登場しています。特にインターネットサービスの進展は目まぐるしく、既存のサービスに影響を及ぼしています。
例えば、Netflix(ネットフリックス)などの配信登録制のストリーミングサービスは、VUCA時代に生まれた新たなサービスです。これまでのようにレンタルビデオ店へ出かけることなく、気軽に映画やドラマなどの充実したコンテンツが楽しめるようになりました。
その他直近では、AI(人工知能)技術の発展も目覚ましく、テキストや画像などが簡単に生成できるようになったことから、多くのサービスが生まれつつあります。
前代未聞・想定外の事象
不確実性の高いVUCA時代には、自然災害や地球温暖化に伴う異常気象も発生しています。災害に対する対策は行っているものの、予測を上回る被害が発生しているのが現状です。
パンデミックとなった新型コロナウイルス感染症の拡大も、VUCA時代に起こった想定外の事象です。感染拡大防止のために営業自粛や外出自粛を余儀なくされ、働き方や価値観が大きく変化しました。
価値観の多様化
目まぐるしく変化し続けるVUCA時代は、個人の常識や価値観にも影響を与えます。
社会情勢の変化により、リモートワークやワーケーションが広がり、ワークライフバランスを重視した働き方が求められるようになりました。フレックスタイム制や副業、パラレルキャリアなど、働き方の多様化に気づいた人が増えたことも、VUCA時代の特徴といえるでしょう。
VUCA時代に対応する組織を作るためには
VUCA時代で組織が勝ち残るためには、変化への対応力に優れた組織作りが必要です。
ここでは、VUCA時代に対応する組織を作るための具体的な方法について紹介します。
VUCAに関する情報収集を行う
VUCA時代に対応する組織を作るためには、組織にとって重要な不確定要素に関する情報を収集しましょう。
Volatility(変動性)に関する情報
IT・AI技術は常に進歩し続けています。トレンドとなっているテクノロジーについて、定常的な情報収集が必要です。
Uncertainty(不確実性)に関する情報
地震や台風、大雨などの自然災害は、予測することが困難であるにもかかわらず、組織の運営に大きなダメージを与えます。事前に把握できることは少ないですが、日々の自然災害の情報や、防災テックの最新情報は追うようにするとよいでしょう。
Complexity(複雑性)に関する情報
ビジネスのグローバル化が進む今、国内の情報収集だけでは十分とはいえません。海外の政治情勢や各国の文化や習慣の違いについての情報も収集し、変化に対応できる力が必要です。
Ambiguity(曖昧性)に関する情報
VUCA時代では、従来のマーケティング方法が通用しないケースが増えてきます。常に変化している消費者のニーズを把握するためには、さまざまな方向にアンテナを張り、あらゆる方向から情報収集を行いましょう。
古い知識や情報をアップデートする
VUCA時代の今、これまで想像していなかったことが新しい常識になってきています。組織がVUCA時代を生き抜くためには、その変化にいち早く対応していくことが重要です。
古い知識や過去の成功パターンに囚われていては、組織は衰退し、やがて時代に取り残されてしまうでしょう。常に新しい視点で物事を捉え、知識や情報を積極的にアップデートすることで、変化に対応できる組織作りが可能となります。
OODAループで考える
OODAループとは、重要な判断や決断を迅速に行うためのフレームワークです。次の4つのプロセスで物事を思考することで、より素早く的確な判断を下すことを目的としています。
項目 |
詳細 |
Observe(観察する) |
組織の外部・内部で現在起きていることを客観的に観察し、情報を収集する。 |
Orient(状況を理解する) |
収集した情報を分析し、状況を理解する。 |
Decide(決める) |
理解した状況に対し、具体的な行動プランを決める。 |
Act(動く) |
行動プランを実行する。 |
計画することを起点にするPDCAサイクルとは異なり、OODAループは観察することが起点です。現状を的確に判断し、柔軟に対応できるため、変化の激しいVUCA時代に有効なフレームワークとして注目されています。
明確なビジョンを共有する
不確定要素が多く、変化への即時対応が求められるVUCA時代だからこそ、組織はビジョンを明確にする必要があります。
ビジョンが明確に示されていない場合、その場しのぎの対応となってしまい、VUCA時代に翻弄されるだけになりかねません。
明確なビジョンを提示し、全従業員と共有することで、一人ひとりが自発的に行動できるようになります。組織内のコミュニケーションも活発になり、革新的なアイデアの誕生につながるでしょう。
VUCA時代に求められるスキル
想定外のことが起こり得るVUCA時代では、求められる個人のスキルも変化しています。具体的にはどのようなスキルが求められているのでしょうか。
また、組織がVUCA時代を生き抜くためには、時代に適応した人材を採用することも重要です。人材採用時には、VUCA時代に適したスキルの有無も採用判断の基準に含めると良いでしょう。
ITスキル
テクノロジーの進展は、VUCA時代をもたらす要因のひとつです。そのため、VUCA時代で活躍するためには、テクノロジーへの理解は必要不可欠といえるでしょう。
今後もテクノロジーはますます進化することが想定されています。ITエンジニアのようなプログラミングスキルとまではいかなくとも、基本的なPCスキルやネットワーク用語などは身につけておくと良いでしょう。
情報処理能力
変化の激しいVUCA時代では、膨大な情報を処理することが求められます。
テクノロジーやニーズの変化に対応していくためには、常に最新の情報を追い、理解する必要があります。
また、インターネットやSNS上には偽の情報も多くあふれているため、正しい情報を選定する力も情報処理能力として重要です。
問題解決能力
問題解決能力とは、単に今見えている問題の答えを見つけるのではなく、「顕在化していない問題を見つけ、対応可能な解決方法を考え、解決に導く」スキルです。
不確実で曖昧性の高いVUCA時代では、これまでとは異なる課題や問題が発生し、過去の事例を参照しても答えが出ないケースが多くなるでしょう。そのような状況化では、問題や課題の本質を見抜き、最適な答えを導き出せる問題解決能力が求められます。
VUCAの時代にあった組織作り・スキルアップをしよう
VUCA時代の終わりは予測できず、今後ますます激化する可能性もあるでしょう。先行きが不透明なVUCA時代に、誰しも不安を抱えているものです。
VUCA時代を乗り越えるためには、柔軟に対応する力を身につけなければなりません。変化を恐れず、過去の知識や常識を常にアップデートしつづけることも必要です。
VUCA時代にあった組織作りとスキルアップを行い、目まぐるしく変化する時代を乗り越えましょう。
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