働き方改革とは?残業や有給などに関する関連法をわかりやすく解説

日本では政府主導による国全体の取り組みとして「働き方改革」が推進されています。

残業時間の制限やテレワークの導入など、働き方の変化を感じつつも、働き方改革とは具体的にどのようなことかと問われると、いまいち把握しきれていない方も多いのではないでしょうか。

今回は、働き方改革について解説します。働き方改革関連法の内容や施行日、導入のメリットについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

働き方改革とは

厚生労働省が発表した「働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~」では、働き方改革について次のように定義しています。

“「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

引用元:厚生労働省「働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~」

働き方改革とは、働く人々がそれぞれの事情に応じ、多様な働き方の選択ができる社会の実現を目指す関連法案の総称です。

現在、日本は少子高齢化や生産年齢人口(国内の生産活動を支える15歳以上65歳未満の人口)の減少、長時間労働の常態化など、さまざまな課題に直面しています。これらの課題を早急に解決するためには、働き方そのものを変える働き方の改革が求められているのです。

働き方改革の3つの柱

働き方改革は、3つの柱を中心に取り組みが行われています。ここでは、それぞれの柱について解説します。

①長時間労働の是正

働き方改革の取り組みとして、真っ先に取り上げられるのが長時間労働の是正です。

世界的にみても日本の長時間労働は深刻であり、更にみなし残業、サービス残業などが常態化していました。有給休暇取得率の低さや年間休日の少なさも課題となっています。

長時間労働は脳・心臓疾患などの健康リスクを高め、生産性の低下にもつながる可能性があります。これらの悪影響を防ぐためにも、長時間労働の是正が推進されているのです。

②正規雇用者と非正規雇用者間の格差の解消

正規雇用者と非正規雇用者では、給与や福利厚生など待遇の格差が生じがちです。ところが、両者が行う業務にほとんど差がない、もしくは非正規雇用者の方がより多くの業務を担っているケースもあるため、雇用形態にかかわらない公平な待遇が求められています。

働き方改革では、不合理な待遇差をなくすための規定の整備や、労働者に対する待遇に関する説明義務の強化を行うなど、正規雇用者と非正規雇用者間の格差解消に向けた取り組みが行われています。

③多様性・柔軟性のある働き方の実現

貴重な労働人口を確保するためには、働く人が個々の事情に応じ、多様で柔軟な働き方ができるよう、職場でも環境の整備を行うことが重要です。

働き方改革では、働く人の希望や状況にあわせて働ける環境を整備する「短時間勤務制度」「フレックスタイム制」「在宅勤務」などの導入を進めています。時間や場所に縛られない多様な働き方が選べるようになれば、育児や介護で仕事を諦めざるを得なかった人も無理なく仕事を続けることができます。

多様で柔軟な働き方の実現は、育児や介護と仕事の両立を支援するだけでなく、労働者のやりがいや生産性の向上、イノベーションの創出促進にもつながるでしょう。

働き方改革関連法の内容と施行日

2019年4月から順次施行されている働き方改革関連法にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、働き方改革関連法の内容と施行日について紹介します。

時間外労働の上限規制

長時間労働の是正やワークライフバランスの改善を目的に、時間外労働の上限規制が設けられました。時間外労働の上限を、原則として月45時間、年360時間と定めたものです。特別な事情がなければ、この上限を超えることはできません。

罰則規定も設けられ、違反事業者は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

時間外労働の上限規制は、大企業は2019年4月から、中小企業は1年間猶予され、2020年4月から施行されています。

参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」

年次有給休暇の時季指定

2019年4月に労働基準法が改正され、年次有給休暇の日数のうち年5日については、時季を指定して取得させる「年次有給休暇の時季指定」が義務化されました。取得義務の対象は、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者です。

労働者が年に5日の有給休暇取得ができていない場合、事業主は労働者の意見を聞いた上で、有給休暇取得日を指定し、有給休暇を取得させる必要があります。

企業規模にかかわらず、全ての事業者が対象です。違反した場合は6ヶ月以下の懲役または1人あたり30万円の罰金が課されます。

参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得」

フレックスタイム制の拡充

フレックスタイム制とは、労働者自らの始業・終業時刻、労働時間を決めることで、仕事と生活のバランスを取りながら効率的に働くことができる制度です。

2019年4月の法改正により、企業規模にかかわらず、フレックスタイム制は清算期間の上限が1ヶ月から3ヶ月に延長されました。これにより、月をまたいだ労働時間の調整が可能となり、さらに柔軟な働き方が可能となります。

なお、1ヶ月を超える清算期間を定める場合、労使協定の届出義務が発生し、届出がない場合は、6ヶ月以内の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。

参考:厚生労働省「フレックスタイム制 のわかりやすい解説 & 導入の手引き」

高度プロフェッショナル制度の導入

2019年4月に新設された⾼度プロフェッショナル制度は、⾃律的で創造的な働き⽅を希望する人が、本人の希望に応じて自由な働き方を選べる制度です。

対象者は、⾼度の専門的知識等を持ち、⼀定の年収(年収1,075万円以上)を満たしていることが条件であるため、ごく限定的な制度といえるでしょう。

⾼度プロフェッショナル制度では、労働基準法に定められた労働時間の規定を適用除外とし、労働を時間で評価するのではなく、成果物で評価します。労働時間に拘束されず自由に働きたい、プロフェッショナルの生産性向上を目的としています。

参考:厚生労働省「高度プロフェッショナル制度について」

雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保(同一労働・同一賃金の原則)

雇用形態にかかわらない公正な待遇を確保するため、同一労働同一賃金が適用されました。

これにより、同一企業内において正社員と非正規雇用労働者との間で、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。是正される待遇は、給与だけでなく、福利厚生やキャリア形成なども対象です。

同一労働同一賃金を定める「パートタイム・有期雇用労働法」の改正は、大企業は2020年4月から、中小企業は2021年4月から適用されています。

参考:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」

産業医・産業保健機能の強化

2019年4月の労働安全衛生法の改正に伴い、産業医・産業保健機能が強化されました。これにより、事業者は産業医の活動環境を整備するとともに、労働者の健康相談の体制整備、及び健康情報の適正な取扱いをしなければなりません。

産業医は、全ての業種において、従業員の人数が50人以上の事業場ごとに1人以上の産業医を選任する義務があります。小規模事業所においては、産業医の選任義務はありませんが、労働者の健康管理を医師等に行わせるように努めなければならないこととされています。

参考:厚生労働省「「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます」

勤務間インターバル制度の導入

勤務間インターバル制度とは、勤務終了時刻から次の勤務を開始するまでに、一定時間の休息時間(インターバル)を確保する制度です。これにより、労働者の十分な生活時間や睡眠時間の確保を促します。

2019年4月、労働時間等設定改善法の改正に伴い、勤務間インターバル制度の導入が努力義務となりました。

勤務間インターバル制度は努力義務のため、導入するかどうかは事業者の判断に委ねられています。罰則などは特にありませんが、労働者の健康のために導入を促進していくことが望ましいとされています。

参考:厚生労働省「勤務間インターバル制度とは」

中小企業における月60時間を超える残業の割増賃金率の引上げ

割増賃金率の引上げとは、2010年4月に施行された改正労働基準法のひとつです。月60時間を超える時間外労働に対する法定割増賃金が、25%以上から50%以上に引き上げられました。大企業には適用されたものの、事業に与える影響を考慮し、中小企業は25%のままと適用が猶予されていました。

しかし、働き方改革関連法の成立により猶予措置が廃止され、2023年4月からは中小企業も、月60時間以上の割増賃金率が50%以上に引き上げられます。割増賃金を支払わない場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

参考:厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の 割増賃金率が引き上げられます」

働き方改革によるメリット

労働環境を是正する働き方改革は、働く人にとっても、企業にとっても多くのメリットがある取り組みです。

では、具体的にはどのようなメリットが得られるのでしょうか。働き方改革で得られるメリットを、働く人と企業の立場別に紹介します。

働く人にとってのメリット

長時間労働が是正されれば、これまで残業等に費やしていた時間をプライベートにあてることができます。健康の維持向上のための休息に費やしたり、家族や趣味の時間を確保できたり、新たなスキルの習得に励んだりなど、理想とするワークライフバランスの実現が可能となります。

時間や場所にしばられない働き方が選択できることにより、通勤や満員電車などのストレスからも開放され、心身共に健康な状態が保てるでしょう。結婚や出産、親の介護、配偶者の転勤などのライフイベントに直面しても、就業を継続し、積極的なキャリア形成が図れることも、働く人にとってのメリットといえます。

企業にとってのメリット

時間外労働の上限規制により、従業員は就業時間内に仕事をこなす必要性が高まります。その結果、従業員の集中力が高まり、生産性の向上が期待できるでしょう。長時間労働が改善されれば、残業手当などが減少し人件費等の削減も可能となります。

柔軟な働き方に積極的に取り組む姿勢は、社会的な評価を得られることも、企業にとってのメリットです。企業イメージが向上すれば、採用活動で優秀な人材の確保がしやすくなる他、離職率の低下も期待できます。

働き方改革で働く個人がより輝ける社会を目指す

時間外労働の上限規制やフレックスタイム制の拡充、割増賃金の引き上げなど、働き方改革の実現に向けた多くの取り組みが行われています。

働き方改革は、これまで当たり前と思っていた働き方を見直し、多様で柔軟な働き方を選択する機会です。企業が取り組むだけでなく、働き方改革で変化する労働環境を理解し、積極的に受け入れる個人の姿勢も重要です。より良い人生を送るためにも、自分がより輝ける働き方を見つけましょう。




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