デザイン思考がもたらす効果とは? ビジネスに活かすプロセスを学ぶ
デザイン思考は、課題解決に役立つ思考法の1つです。変化の激しい現代社会において、国内外の幅広い企業から注目が高まっています。
本記事では、デザイン思考の定義や求められる背景、ビジネスに活かすプロセス・効果について詳しく解説します。
デザイン思考とは
デザイン思考(Design Thinking)とは、デザイナーがデザインを行う際の思考の過程を体系化した、問題解決のための思考法です。一般的に、デザインは図案や柄という意味合いで捉えられますが、デザイン思考においては「設計する」ことを意味します。
デザイン思考は、課題発見のプロセスや問題解決の起点がユーザーにあることが特徴です。ユーザーの視点に立ち、ユーザーが求めることや課題を把握した上で、解決策を模索していきます。
デザイン思考が求められる背景
デザイン思考が求められる背景には、昨今の激しく変化する社会情勢が関係しています。
テクノロジーが急速に発展し、経済やビジネスがグローバル化した現代は、デジタル技術を活用する「DX時代」や、社会的に先行きの読めない「VUCA時代」といわれています。
人々の行動や価値観も変化し続けていることから、従来のように仮説と検証を基に製品を生み出す方法ではビジネスの成果につながらないケースもあり、ユーザーニーズを再定義する必要が出てきました。
そこで注目されているのが、ユーザーに起点を置き、問題解決を図るデザイン思考です。新しいスタイルであるデザイン思考は、これからの社会を生き抜くために不可欠な思考法といえます。
デザイン思考における5つの思考プロセス
デザイン思考を実行する際には、以下の5つの思考プロセスを用いることが主流です。
- 共感
- 定義
- 概念化
- 試作
- テスト
5つのプロセスは必ずしも順序通りに進めなければならないわけではなく、状況に応じて行きつ戻りつして活用します。詳細を確認していきましょう。
共感
最初のプロセスである「共感」では、ターゲットユーザーの抱える課題やニーズを読み取ります。このプロセスは、デザイン思考において問題解決の基盤となる重要なポイントです。
具体的には、ターゲットユーザーに対して、アンケートやモニタリング、インタビューなどによる調査を行います。調査を行う前に対象となるユーザーを選定し、調査で知りたい内容を整理しておくことで、効率よく進めることが可能です。
定義
ここでは「共感」で得られた調査結果から、ターゲットユーザーの課題やニーズを把握し、そこから解決すべき課題やポイントを定義します。
調査結果はそのまま受け止めるのではなく、「なぜそのような回答に至ったのか」という背景の思いにも焦点を当て、ユーザーの本音を探っていきましょう。
定義のプロセスではユーザーの潜在的な要望を捉えるべく、すぐに結果を求めずに、丁寧に取り組むことが大切です。
概念化
「概念化」では、前プロセスで定義した課題やポイントに対して、解決手段を模索します。課題解決のフレームワークを用いたり、ブレインストーミングを行ったりして、アイデアをたくさん出していきましょう。
最初から質にこだわるのではなく、数多くのアイデアを挙げることがポイントです。その上で、アイデアの意図や価値、課題解決後に目指したい目的などを照らし合わせて考えると、適切な解決手段を選定できます。
試作
続いて「解決策」で決定したアイデアを基に、商材の試作を行います。実際に社員が試作品を確認したり利用したりすることで、ユーザーに提供する前に、商材の強みや弱み、改善点を把握できます。
この段階では完璧なプロトタイプを目指す必要はありません。不完全でも、まずは作ってみることでさらに議論を深められます。議論に重点を置き、スピード感を持って進めるためにも、なるべく短期間で、かつコストを抑えて行うことが大切です。
テスト
試作品が完成したら、ターゲットユーザーにテストを実施します。ユーザーからフィードバックをもらうことで、ユーザーニーズに応えるだけでなく、改善点や新たな課題などを発見することが可能です。
デザイン思考はテストをすれば終わりというわけではありません。テスト後に必ず確認と検証を行い、必要に応じて試作品の改善をして、さらにテストを繰り返しながら商材の完成形を目指していきます。
デザイン思考がもたらす効果
ビジネスにデザイン思考を用いると、ユーザーニーズの理解や課題の解決に加え、組織内に以下のような効果をもたらすことを期待できます。
- アイデアの提案が習慣化する
- イノベーションが創出されやすくなる
- 多様な意見が学べる
- 活発なコミュニケーションにつながる
アイデアの提案が習慣化する
デザイン思考では、「試作」のプロセスのように質を問わず、まずアイデアを形作ることが求められます。つまり、デザイン思考をビジネスに取り入れることで、おのずとアイデアの提案が習慣化しやすくなります。
組織内にデザイン思考を浸透させることで、活発にアイデアが生まれやすい環境にもなるでしょう。
イノベーションが創出されやすくなる
イノベーションを創出するためには、ユーザーの本音に寄り添うことが大切です。
デザイン思考は、既存の商材が持つ課題を改善するのではなく、ユーザーニーズを基にプロセスを経ます。ユーザーが本当に求めることの実現に向けて思考を巡らすため、新たな価値の創造につながりやすくなります。
イノベーションの創出によってユーザーの満足度が向上すれば、結果として組織の成長も期待できるでしょう。
多様な意見が学べる
デザイン思考のプロセスを行う過程では、様々な人と意見を交わすこととなります。多様な価値観を持つ人の意見に耳を傾けることで、自分では気づけなかった新たな視点を発見できます。
そうして多様な意見に触れるうちに自然と柔軟性が養われ、自身の視野を広げることが可能になります。物事を多角的に考えられるようになるため、革新的なアイデアを思いつくきっかけにもつながります。
活発なコミュニケーションにつながる
デザイン思考を推進することで、チームやプロジェクトメンバーとのコミュニケーションが活発になります。お互いの考えを知ることで、尊重し合える関係性ができるため、結果として団結力やチームワークの向上に作用します。
ただし、デザイン思考でコミュニケーションを活発化させるには、チーム全員が平等に意見を出せる環境が不可欠です。管理職や年長者に発言が集中するといったことがないように注意しましょう。
デザイン思考の弱点
デザイン思考は課題解決や組織の活性化に効果がある一方で、いくつかの弱点も存在します。
まず、デザイン思考はユーザーニーズに基づく思考のため、ゼロベースのアイデア創出ができません。ユーザーに寄り添い、課題を解決したいシーンで活用することで効果が得られます。
また、デザイン思考は組織内ですぐに理解を得られないケースもあることから、習慣化させるまでに時間がかかります。デザイン思考は多くのメンバーで行うことが欠かせません。組織全体への浸透を促せるよう、導入による効果や成功事例を伝えるといった工夫が必要です。
デザイン思考はニーズ&アンサーの基本
デザイン思考はユーザーが本当に求めていることを把握し、問題を解決していく思考法です。変化の激しいVUCA時代においてユーザーニーズを再定義し、ビジネスを成功させるために必要とされています。
ユーザーに起点を置くデザイン思考は、多くのメンバーとともに「共感」「定義」「概念化」「試作」「テスト」のプロセスで実行します。それにより、新たな価値観を生み出せるだけでなく、組織の活性化を図ることも可能です。
デザイン思考は目の前の課題を解決するために不可欠な思考法のため、ぜひ理解を深めてビジネスに取り入れていきましょう。
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